やまゆり生活協同組合

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リレーコラム

DATE 2021.8.12

FROM 岸田美紀

第2回「塩のはなし」


料理講座は「塩」の話から始めます。

生きものにとっていちばん大切なものが水と塩だからです。生命は海から生まれたと言われており、人間の体液、血液、お母さんの羊水の成分バランスはいずれも海水に似ているのです。塩を食べる目的は、単なる味付けのためではなく、体のミネラルバランスを整えるためです。海水にはわかっているだけで80種類以上のミネラル成分が存在しており、全く食べものがなくても、水と塩があれば人間は数日から数週間生き続けられると言われています。
塩の成分表を見ると、最も多い塩化ナトリウムからミネラル成分が表示されていますが、ナトリウム以外が特に重要で、数字に表れないような微量ミネラルもすべてが体の働きにとって必要なのです。
ここで言う塩は、海水を煮詰め、あるいは天日干しして作られた「自然海塩」です。塩化ナトリウム99%以上の精製塩は市販の加工食品などに使われていますが、微量ミネラルがほとんど含まれていないため、人間にとってほんとうに必要な塩として考えることができません。
塩の大切さについては、繰り返し触れていくことになりますが、塩には食材の甘み、旨みを引き出すはたらきがあります。料理をするときには「食材の1%の塩」を基本に考えます。人の体液の塩分濃度はおおよそ0.9%なので、それと同じか少ししょっぱいくらいがおいしく感じる塩分なのです。試しに、さつまいもやかぼちゃに、重さの1%くらいの塩をまぶしてから蒸して食べてみてください。そのまま蒸したものと食べ比べると、素材の甘みが感じられ、おいしくなっていることに気がつくと思います。

今回は、塩だけで素材のおいしさを味わう「小豆かぼちゃ」を紹介します。小豆もかぼちゃも砂糖を入れて甘く煮るイメージを持っている方が多いと思いますが、ぜひ塩だけで煮てみてください。小豆は腎臓を助け、水分や老廃物の排泄を促します。夏でも内臓が冷えやすい女性には特におすすめ。ビタミン豊富で抗酸化作用があり免疫力を高めるかぼちゃとの組み合わせは、夏バテの体が喜ぶおいしさです。

そのままおかずにするのはもちろん、冷やして甘酒をかけたり、つぶして焼いたり、水分を増やして白玉団子を加えたりすればちょっとしたおやつにも変身します。


「小豆かぼちゃ」レシピ

<材料>3~4人分
小豆 1/2カップ(約75g)
かぼちゃ 150g
塩 小さじ1/2
水 2カップ(400cc)
<作り方>
①小豆を洗って水を切り、2カップの水とともに厚手の小鍋に入れ、蓋をして火にかける。沸騰したら弱火にして柔らかく指でつぶせるくらいまで煮る(途中で水が足りなくなりそうだったら1/2カップほど足す)。
②小豆が柔らかくなったら一口大に切ったかぼちゃと塩を加え、できるだけ混ぜずにかぼちゃに火が通るまで煮る。最後にざっくりと全体を混ぜる。
※柔らかく煮たい場合は途中で水を多めに足します。



カテゴリー: 料理

岸田美紀

東京生まれ。1991年有機野菜宅配会社のスタッフとしてオーガニック流通の世界に入る。商品開発・カタログ制作など様々な仕事を行うかたわら、「生産者が想いを込めて作った野菜のおいしさをいかに伝えるか」を探求すべくマクロビオティック料理を学ぶ。その後、穀物菜食カフェのスタッフとしてにて、ケータリングシェフ、料理セミナー講師などを歴任。現在は「町でもできる自給自足的手づくり暮らし」をテーマに発酵食、保存食、マクロビオティックなどの講座を開催中。流通会社での経験を生かして、メーカー向けレシピ開発やコラム執筆なども手がける。