やまゆり生活協同組合

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リレーコラム

DATE 2021.10.22

FROM 岸田美紀

第3回「手ばかり目ばかり」

 家庭で料理をする時、計量カップや軽量スプーンを使っていますか?料理の記録は世界各地に古代から残っていますが、家庭用にレシピ本が作られたのは歴史的には新しく、栄養学とともに「計って料理をする」という文化が浸透してからのことです。昔の人は、計らずとも身につけた感覚で料理の味を決めていましたが、レシピサイトや料理動画を誰でも見られるようになった昨今、かえってその感覚が失われていっているような気もします。

今回は、「手ばかり目ばかり」のお話です。手ばかりは道具を使わずに手の感覚で重さや長さをはかること、目ばかりは見た目で量をはかること。本来は感覚だけで料理できるほうがよいのですが、いったん量に換算してみるのもおもしろいです。前回、「おいしい塩分は1%」という話をしましたが、覚えておきたいのが塩の手ばかり。塩をすりきり小さじ1とって、手のひらにのせてよくその景色と重さを覚えておきましょう。これが塩5gの量です。ちなみに、3本指でつまむと約1gです。例えばきゅうり1本はだいたい100gですから、一つまみから二つまみの塩でもむとちょうどいい加減ですね。チャーハン1人分、ごはん軽く茶碗2杯分(300g)であれば、塩はだいたい3gです。短時間で仕上げる炒めものは途中で塩加減を直すのが難しいので、「具材の1%の塩分」を考えながら作ると失敗しにくいです。
卵1個はだいたい50~55gですから、手で重さを覚えておくと、じゃがいもの重さも想像がつきます。玉ねぎは使いやすい大きさのものを一度計量して覚えておくと、重さの目安になります。そして、これらの具材に対してどのくらいの調味料を入れたらおいしかったか、それを覚えておくと、どんどん料理が楽になります。
レシピを見て料理をする時も、「油 大さじ1」を計量スプーンで計ってフライパンに入れたら、よくその景色を眺めます。次回からはこの見た目で大さじ1の油がわかりますから、わざわざ計量スプーンを使う必要がなくなります。小麦粉1カップ(200cc)は約100g。米1合は約150gで炊くと330gになり、茶碗に2杯分です。炊飯器や計量カップがなくても、米の1割増しの水でご飯は炊けます。
感覚で料理できるのが一番よいのですが、いったんこれはこのくらいの量、という重さとかさの記憶をすると、いつしか手ばかり目ばかりで楽に料理できるようになっていきます。
今回は、手ばかり目ばかりで作る「大根もち」です。大根に限らず、野菜を入れたお焼きを作る時の野菜と粉の割合は2~3:1。これを景色で覚えておきます。大根もちの作り方にはさまざまありますが、今回のレシピは粉も米粉と片栗粉ですから、小麦粉が苦手な方にもおすすめです。好みで干しエビなど入れてもおいしいです。



「大根もち」レシピ


重さも書いてありますが、目ばかりで覚えておくと、いつでもどこでもだいたいおいしくできます。
<材料>24~26cmのフライパンで1枚分
大根 250g(小さめの大根1/4くらい、見た目で粉の2~3倍の量)
米粉70g+片栗粉30g(粉2種類あわせて1カップくらい、小麦粉でも)
大根葉またはネギ 10cmくらい
塩 小さじ1/2
ゴマ油 適量


<作り方>
①大根の半分は千切り、半分はすりおろしてザルに入れ自然に水気を切る(汁はとっておく)。大根はみじん切り(ネギの場合は斜め千切り)にする。
②①の大根、米粉、片栗粉、塩、大根葉を混ぜる。大根おろしの汁は固さを見て足す(どろっとした状態に)。
③フライパンにゴマ油をひいて②のタネを流し入れ、薄くのばして両面5分くらいずつ焼く。表面に焦げ目がついてカリッとしたらできあがり。好みで辛子醤油などつけていただく。


カテゴリー: 料理

岸田美紀

東京生まれ。1991年有機野菜宅配会社のスタッフとしてオーガニック流通の世界に入る。商品開発・カタログ制作など様々な仕事を行うかたわら、「生産者が想いを込めて作った野菜のおいしさをいかに伝えるか」を探求すべくマクロビオティック料理を学ぶ。その後、穀物菜食カフェのスタッフとしてにて、ケータリングシェフ、料理セミナー講師などを歴任。現在は「町でもできる自給自足的手づくり暮らし」をテーマに発酵食、保存食、マクロビオティックなどの講座を開催中。流通会社での経験を生かして、メーカー向けレシピ開発やコラム執筆なども手がける。