DATE 2022.1.5
FROM 岸田美紀
第4回「干し野菜日和」
寒風が吹いて、からっと晴れたら干し野菜日和。
先輩方から教えてもらった大切なことの一つに「冷蔵庫はゆっくり腐らせる箱」という話があって、人間はふつうに室温において大丈夫なもの、とれたてのものだけ食べていれば病気になったりしないのだと。
昔の人は食べもののとれない季節に備えて「発酵させる」「塩漬けにする」「干す」といった暮らしの知恵を駆使していました。
中でも「干す」は最も手軽な方法。水分が抜けて野菜の旨みが凝縮される、食感がしっかりするのでよく噛む素材になる、小さくなって保管しやすくなる。
太陽が下ごしらえしてくれた干し野菜に干し魚、干し果実…どんな食べ方をしてもおいしいにきまっているのです。
家庭でもできる「干し野菜」は野菜を余らせずにおいしくいただける、究極の下ごしらえ、保存法です。少し水分を残して干した「半干し野菜」は、市販の干し野菜のように、水につけてもどす必要はありません。だから、野菜本来の水分だけをいただくことができて、干し野菜にはない生のシャキシャキ感を楽しむこともできます。
おすすめは大根、カブ、りんご、きのこなど。
調理するとビックリ。生よりずっと短い時間で炒められ、揚げ物も簡単。油が傷まない。干すというひと手間を加えただけで、調味料も少なめになり、料理がシンプルになります。ただし、市販のものと違って干し方は甘いので早めに食べたほうがいいです。
霜が降りるまで、雪が降るまでの短い初冬、せっせと収穫しては干す。
さまざまな家事仕事の合間をぬって、ああ忙しいと言いながら、天気を見てひなたを探し、ざるを並べる日々を愛おしく感じます。
干し大根の柚子醤油漬けレシピ
<材料>
大根 1本
醤油 適量
柚子 2~3個(しぼり汁が醤油の半量くらいあるとよい)
赤唐辛子 1本
<作り方>
①大根は葉を落として6~8つに縦に割り、ざるに並べる(紐で結んで干してもよい)。大根の大きさにもよるが、4~7日くらい天日干しにする(干し加減は好みで)。
②1cmくらいの幅に切って保存容器に入れ、大根の半分くらいの高さまで醤油を入れる。柚子は半分に割って汁を絞り、皮もそのまま入れる。赤唐辛子を小口切りにして加える。上下を途中で返しながら半日~1日おいて大根に醤油が染みたらできあがり。
※イチョウ切り、輪切りなど切り方を変えてもまた違った味わいになります。
カテゴリー: 料理